直腸カルチノイドとは、直腸がん(悪性腫瘍)の一種。
ただ、かつては「癌もどき」とも言われ、さほど心配されることはありませんでした。
しかし近年、癌と同様(むしろそれ以上に)転移しやすいことが分かり、
かなり慎重な治療をしなければとの扱いにされています。
正式には神経内分泌腫瘍(NET)と言い、罹患者は10万人に3~4人と、
希少ガンの一種でもあります。
本邦における治療ガイドラインとしては、
・腫瘍径10㎜以下
・粘膜下層に留まる
・悪性度がG1(最も悪性度の低いグレード)
であれば、まずは内視鏡切除が考慮されます。
私の場合、術前検査で腫瘍径8㎜(+粘膜下層+G1)と、
そして生体検査をして、転移リスクを考慮します。
ここで転移リスクが高いと判断されれば、追加での外科手術が検討
されるのです。
その外科手術は全身麻酔(直腸切除+リンパ節郭清)と、かなりの
負担でして、縫合不全等の合併症リスクも少なからずあります。
また、かなりの確率で排便障害となり、その後のQOLにも大きく
影響するとか。。。
で、その追加外科手術の考慮要因(転移リスク要因)となるのは
・粘膜下層より浸潤(固有筋層まで浸潤)
・静脈侵襲
・リンパ管侵襲
・断端陽性(取り残しがある)
です。
幸い、私の場合、上記の要因はとくにありませでした。
しかし、
・腫瘍径8㎜ ⇒9㎜
・粘膜下層に留まる ⇒粘膜下層のより深い部分まで浸潤
・悪性度がG1 ⇒G2(但し、詳細な検査によりG2でも軽度の部類)
と、腫瘍径・深達度合・悪性度のいずれも、術前検査よりも、
微妙に悪いものだったのです。
ただ、いずれもガイドライン上は、明確に「追加外科手術」とは明記されていません。
しかし、いずれも明確な、転移リスク要因です。
非常に、悩ましいところなのです。
大学病院で治療しているのですが、私の病状については意見が分かれており、
結局、治療方針については、「ご自身で決めてください」とのこと。
希少がんゆえに症例が少なく、病院側も、一方的には決められないとのこと。
このまま経過観察であれば、8~10%程度の転移・再発リスクがあるのでは、
との見立てではありますが、もちろん、これは正確な数字ではありません。
怖いのは、直腸カルチノイドは転移、とくに遠隔転移(肝臓に転移しやすい)すると、
抗がん剤が効かないということです。
ですので、遠隔転移してしまうと、あとは延命治療しかないという状況になる
可能性が高いのです。
すなわち、死も意識せざるを得ない状況となってしまうのです。。。
なお、追加外科手術をして、転移・再発リスクをどれだけ下げられるかも、
詳細なデータがないので、その数字も不明。
もちろん、追加外科手術をすれば、転移・再発リスクはいくらか下げることは
できますが、決して0%にはできません。
であれば、もともとのリスクが10%以下とすれば、下げられる数字はせいぜい
数%です。
そのために、大きな負担(合併症や排便障害等)を負って、外科手術を
する必要があるのか・・・と。
直腸カルチノイド関連の論文を読み漁りましたが、この部分については、
いずれも「悩ましい」「今後、さらなる検討が必要」などと、ハッキリとは
結論付けておりません。
また、ネットでも、同じような状況で悩んでいる人も多いです。
そして私も、悶々と悩み続けているわけで、おそらく、しばらくは悩み続けるかと
思います。
というわけで、せっかく貴重な体験をしているわけですから、
その記録を留めようと、このブログを始めました。
諸々、情報発信していきたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。